医療レーザー脱毛というと、よく「脱毛効果が高い」「永久脱毛できる」と言いますが、実際にはどんな仕組みで効果があるのかは知らない人が多いと思います。
そこでこの記事では、医療レーザー脱毛の仕組みや、光脱毛との効果の違いなどを詳しくお伝えします。
また、クリニックで主に使われるレーザーの種類についても解説するので、これから医療レーザー脱毛を検討している人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
毛の仕組みと毛周期(ヘアサイクル)
医療レーザー脱毛の効果を正しく知るには、まずは毛が生える仕組みと、生え変わるサイクルについて知る必要があります。
脱毛効果をしっかり出すためにも、ここで基本をおさえておきましょう。
毛の仕組みについて
人間の毛は、毛幹と毛根によって構成されていますが、脱毛をするうえで大切なのはどちらなのでしょうか?
それぞれの役割についてお話しします。
毛幹
「毛幹」とは、皮膚から上に出ている部分の毛のことを言います。
カミソリや電気シェーバーで処理できるのは、この毛幹の部分だけです。
植物で例えるなら土の上に出ている茎や葉の部分なので、たとえ刈られても根っこがある限りまた生えてきます。
そのため、脱毛をする時もレーザーを毛幹に当てるだけでは意味がありません。
もっと深い部分にレーザーの熱を当てることで、毛の再生をストップさせることができるのです。
毛根
ではどこにレーザーを当てると意味があるのかというと、それは「毛根」と呼ばれる部分です。
毛根は皮膚の下に埋まっている部分のことを言い、植物で言えば根っこの部分になります。
毛根の根元にはぷっくりと膨らんだ毛球があり、その中に「毛母細胞」や「毛乳頭」があります。
そして、その上のもう少し皮膚に近い、皮脂腺の下部にあるのが「バルジ領域」と呼ばれる部分ですが、この「毛母細胞」「毛乳頭」「バルジ領域」の3つが脱毛をするためには重要になります。
それぞれがどんな役割をしているのか、簡単にご説明しますね。
- 毛母細胞
- 毛乳頭
- バルジ領域
毛母細胞は、名前のとおり毛の母のような存在です。 毛乳頭から酸素やアミノ酸などの栄養を受け取り、細胞分裂をしながら毛をつくりだします。 毛母細胞はめったなことでは死滅しないので、サロンでの光脱毛や家庭用の脱毛器では完全に活動を停止させることはできません。 たとえ一度は毛が生えなくなっても、また毛母細胞が活発になれば毛が再生する可能性があります。
毛乳頭は、毛母細胞に必要な栄養を送り、「毛をつくれ」という命令をする役割をしています。 毛母細胞が毛を生産する工場なら、毛乳頭はそれに指示を出す存在だと言えば分かりやすいでしょうか。 ちなみに、毛が抜けても毛母細胞や毛乳頭が一緒に抜けることはありません。 そのため、たとえ毛抜きで毛を引っこ抜いても、毛母細胞や毛乳頭さえ元気ならまたすぐに毛が生えてくるのです。
バルジ領域は、毛母細胞が毛をつくるのに欠かせない「毛包幹細胞」と呼ばれるものを、毛乳頭に運ぶ役割をしています。 順番としては、毛包幹細胞はまずバルジ領域から毛乳頭に運ばれ、さらに毛乳頭から毛母細胞に運ばれるという順番になります。
以前は脱毛に重要なのは毛母細胞と毛乳頭の2つだと考えられていましたが、現在ではバルジ領域を破壊することでより確実な脱毛ができるという理論が出てきています。
すでに一部のクリニックでは、バルジ領域にアプローチする脱毛器が取り入れられています。
毛周期(ヘアサイクル)について
ここまで毛が生える仕組みについてお話しましたが、もうひとつ脱毛をするうえで知っておきたいのが、毛周期についてです。
毛周期とは、毛が自然と抜け落ち、また生えてくるまでのサイクルのことを言います。
脱毛で大切なのは毛周期に合わせて通うことで、これを無視してむやみに通っても、思うような効果が出ず時間とお金を無駄にしてしまいます。
毛周期には「成長期」「退行期」「休止期」の3つのサイクルがありますが、それぞれどんな時期なのかを見ていきましょう。
- STEP.1成長期新しい毛がつくり出され、皮膚の上に伸びている状態です。
成長期の毛は、全身すべての毛の20%程度だと言われています。 - STEP.2退行期毛の成長が止まり、新しく生えてくる毛に後押しされている状態です。
休止期に向けて、抜けやすくなっています。 - STEP.3休止期毛が寿命をむかえて抜け落ちていく時期です。
皮膚の上からは見えませんが、新しい毛が育っています。
このように、毛は「グングン伸びる」→「成長が止まる」→「抜ける」のサイクルを繰り返していきます。
ただし、重要なのは脱毛のレーザーをあてて効果があるのは成長期の毛だけだということです。
つまり、一度にレーザーをあてられるのは、全体のわずか20%の毛だけということになりますね。
脱毛したい部位のすべての毛に照射するためには、最低でも5回は通う必要があるという計算になります。
そのため、脱毛に通っていると「脱毛をしたばかりなのに新しい毛が生えてきた」ということがよくあります。
レーザーの効果が出ていないのかと心配になるかもしれませんが、それは休止期だった毛が皮膚の上に伸びてきただけです。
回数を重ねるごとに新しい毛が生えなくなってくるので、根気よく続けていきましょう。
レーザー脱毛は毛根を破壊できる
毛を完全に生えなくさせるためには毛根の機能を破壊することが必要だとお話しましたが、医療レーザー脱毛なら繰り返し照射することでそれが可能になります。
そのためには強いパワーが必要なので、医療用のマシンでないとできません。
エステや脱毛サロンでも「半永久的に脱毛効果がある」と宣伝しているところがありますが、いわゆる光脱毛と呼ばれるものはパワーが弱いので、毛根を破壊することはできません。
繰り返し照射して、毛根にダメージを与えることで毛を生えにくくすることはできますが、あくまでも「減毛」や「除毛」が目的とされています。
もし一生毛が生えないなどと宣伝しているサロンがあれば、それは違法行為になるので注意してくださいね。
レーザー脱毛で使用されるレーザーの種類
医療レーザー脱毛に使われるレーザーには、さまざまな種類があります。
一体どれがいいのか分からないという人のために、現在主に使われている3種類のレーザーの特徴を解説します。
そもそもレーザーってなんなの?
美容目的で使われているレーザーというと、まず思い浮かぶのがシミやそばかすを薄くする、美肌治療に使われるレーザーではないでしょうか?
メラニン色素に反応するという点では、脱毛に使われるレーザーも原理は同じです。
脱毛では、毛の黒いメラニン色素にだけ反応するレーザーをあてることで、熱で毛根を破壊していきます。
肌には反応しないので、ほとんどダメージはありません。
脱毛中はよく「日焼けはNG」と言いますが、これは肌が黒くなるとレーザーが反応してしまうためです。
それでは実際に、医療レーザー脱毛で使われるレーザーについて解説していきます。
アレキサンドライトレーザー
アレキサンドライトレーザーは、日本国内のクリニックでもっとも多く使用されているレーザーです。
ジェントルレーズやジェントルレーズプロといった表記があるクリニックは、アレキサンドライトレーザーを利用しています。
レーザーの波長が長いため、肌を傷つけずに一番奥にある毛根まで破壊できます。
メリットとしては、メラニン色素の濃い、太い毛によく反応することです。
そのためワキやVIOなどの毛の脱毛に適しています。
さらに、もともとはシミやニキビ跡の美肌治療に使われているレーザーなので、繰り返し照射することで肌が美しくなるというメリットもあります。
デメリットは、うぶ毛にはあまり効果がないことです。
そのため、顔やうなじ・背中・ヒップなど細い毛が集中している部位には適していません。
また、比較的照射に時間がかかるというデメリットもあります。
だたし一部のクリニックでは、スポットサイズを大きくしたジェントルレーズの進化系のマシンを使い、施術時間を短縮しているところもあります。
アレキサンドライトレーザーを利用している主なクリニック
- レジーナクリニック
- アリシアクリニック
- 湘南美容クリニック
- 渋谷美容外科クリニック
- 表参道スキンクリニック
- サクラアズクリニック
ダイオードレーザー
ダイオードレーザーは、アメリカのFDA(日本の厚生労働省にあたる機関)から認定を受けている安全性の高いレーザーです。
ソプラノアイスやメディオスター、ライトシェアデュエットといった表記があるクリニックは、ダイオードレーザーを利用しています。
メリットとしては、とにかく照射時の痛みが少なく、快適に脱毛ができることです。
ジェルを塗り冷却しながら照射していくので、肌のダメージも最小限に抑えられます。
そのため「医療レーザー脱毛がしたいけど、痛みがあるのはイヤ」という人には最適です。
さらに波長を細かく調整できるので、うぶ毛にも高い効果があります。
デメリットは、他のレーザーに比べて脱毛効果が高くはないので、劇的な変化は期待できません。
あくまでも、繰り返し照射しながら徐々に毛を減らしていくことが目的です。
ダイオードレーザーを利用している主なクリニック
- レジーナクリニック
- アリシアクリニック
- リゼクリニック
YAGレーザー
YAGレーザーは、3つのレーザーの中でもっとも波長が長いため、毛根までしっかり届き、根深い毛も脱毛できます。
男性のヒゲ脱毛などにもよく使われるレーザーです。
ジェントルヤグといった表記があるクリニックは、ダイオードレーザーを利用しています。
メリットとしては、脱毛効果が高いため、他のレーザーでは抜けきれなかった頑固な毛にも効果が期待できます。
また、波長がとても長いため肌表面にはほとんど影響がなく、日焼けしている肌や色素沈着のある肌にも対応しています。地黒の人にも良いでしょう。
デメリットは、痛みが強いことです。
とくに太い毛が生えている部位は強い痛みを感じるため、VIOなどは麻酔が必要になるかもしれません。
もともと痛みに弱い人は、テスト照射で耐えられるかを確かめておいたほうが良いでしょう。
YAGレーザーを利用している主なクリニック
- リゼクリニック
- 渋谷美容外科クリニック
クリニックに相談して自分にあったレーザー脱毛を選ぼう
それぞれのレーザーの特徴やメリット・デメリットなどをご説明しましたが、もっとも大切なのは自分の希望の部位や肌質・毛質などにあったレーザーを選ぶことです。
もともと毛が太いか細いかによっても最適なレーザーは違いますし、痛みに強いかどうかでも違います。
契約してから後悔しないよう、カウンセリングの時点でしっかり相談するようにしましょう。
なお、レジーナクリニックやアリシアクリニック、リゼクリニックのように、部位や毛質ごとに2種類以上のレーザーを利用しているクリニックがあります。
これらのクリニックを優先的に相談してみるのものおすすめです。